なぜ「一般社団法人キャリアコネクト」を立ち上げたのか
2022年にキャリアカフェ上海の再始動にジョインしてから、キャリアカフェ中国として多くの方に応援いただき、2025年にはCareer Cafe Connectとして駐在員パートナーのキャリア支援の活動の広がりを実感してきました。
少しずつお役に立てる場面も増え、ボランティア活動にも手応えを感じていましたが、ある時、限界を感じる出来事がありました。
メディアや企業・外部団体とのやりとりの中で「それって任意団体ですよね?責任者は誰ですか?」と問われ、”社会的な信頼の壁”にぶつかったのです。
この活動をもっと意義あるものに、そして企業と手を取り合って「駐在員パートナーのキャリア支援の課題」に向き合うため模索した結果が、「非営利型の一般社団法人」という選択でした。
理由は大きく4つ。
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1. 社会的信用を得て、企業と本気で取り組むため
2024年、企業や外部団体と関わる中で、「この団体は信頼できるのか?」という視点が避けられないことを痛感しました。
営利目的ではなく、信頼性のある枠組みが必要だと感じ、選んだのが「一般社団法人」。日本国が認める”非営利の法人”で、利益分配を行わないことが明確に定められています。
これまで、スタッフ全員が無報酬の「ボランティア」というスタンスを徹底してきました。
これからも、スタッフ活動は「ボランティア」であることは変わりません。法的に守られた安全な形で活動するために、株式会社ではなく、非営利法人を選択しました。
NPO法人という選択肢もありましたが、設立時の手続きや条件から、今のフェーズでは一般社団法人の方が現実的だと判断しました。
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2. スタッフの活動をより「再就職時に活きる経験」にするため
これまで一緒に活動してきたスタッフは、本当にスキルが高く、真剣に取り組んでくれる方ばかり。任意団体でのボランティア経験も、間違いなく意義があり、再就職の際に強みになる活動です。
ただ、より社会的に認知されやすい形にすることで、スタッフ一人ひとりの努力や成長が、より正確に伝わるようにしたい。
法人格を持つ団体の中で「無償インターンとして活動していた」と言えるようになれば、それが社会的にも実績として認められやすくなります。
私たちが、活動証明を発行できるようにすることで、駐在同行中にキャリアに不安を抱えながらも、サポート側に立ったスタッフの「再出発のサポート」にもつなげたい。そんな思いも、この法人化には込めています。
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3. 将来的には、「駐在員パートナーの雇用を創出できる法人」に育てていくため
今はまだ、収益が見えている状態ではなく、活動資金もスタッフの個人負担によって支えられているのが実情です。正直なところ、雇用どころかまずは最低限の経費がまかなえる状態を目指す段階です。
けれど、将来的には、帰国後やビザの制約がないスタッフに対して、少しずつでも仕事として報酬を支払えるような仕組みをつくっていきたいと考えています。
駐在員パートナーが大きな不安を抱えている「帰国後の仕事」に対し、私たち自身が何らかの選択肢を提供できるような法人に育てていきたい。
その未来の可能性を閉ざさないためにも、今の段階で「雇用を生み出せる土台」として法人格を持つことに意味があると思っています。
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4. 活動を持続可能にするために、責任ある形をとるため
駐在員パートナーのキャリア支援は、海外赴任のサイクルが短いため、続けることが本当に難しい分野です。誰かが始めても、任意団体だといつの間にか活動が止まってしまう。
私自身も、もし任意団体のままだったら、日本に帰国したら続けられるか自信がなかったと思います。(本帰国はまだですが先を見据えています)
でも、法人の理事という立場になれば、責任も生まれます。課題に向き合う覚悟もより一層強くなる。そういう意味でも、この法人化は「私自身の覚悟」を形にしたものでもあります。
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最後に…
企業とともに課題を解決していきたい
ここまでいろいろ書いてきましたが、やっぱり一番大きな理由は、「企業と本気で手を取り合って、この課題に取り組んでいきたい」という気持ちです。
駐在員パートナーのキャリア支援の問題は、個人だけの話ではなく、企業や社会全体にとっても大きなテーマです。
駐在員パートナーのキャリアを理由に駐在を辞退する人は増えているように感じます。
そのような理由で駐在を断る人が増えれば、駐在員も貴重な経験を積めず、駐在員家族も国際感覚を磨くチャンスを得られず、企業の国際展開にも影響が出る。そうした損失は、決して小さくないと思っています。
だからこそ、私たちはこの問題を「社会課題」として捉え、企業や社会と一緒に解決していきたい。
この社団法人の設立は、海外駐在に関わるすべての人の希望を形にする第一歩です。
一般社団法人キャリアコネクト
代表理事 関小百合
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